ある時代ある場所、乱れた世の片隅








少年は生きるため、盗みを覚えていった。



















「そこの糞餓鬼!!!!パン返せぇええぇ!!!!」











「・・・・やだよ〜だ!!!返して欲しければオイラを捕まえてみろ!!!」





醜く太った大人達などには

決して追いつけはしない風のように

今、空腹を満たすのがすべて

是も非も超え、ただ走る。















「・・・・あの野郎!くそっ・・・追いつけねぇ・・・今度見つけたらただじゃおかねぇからな!!!!」








清らかな、その心は穢れもせず罪を重ねる。

天国も地獄さえも、ここよりましなら喜んで行こう。

『人は皆平等などと、どこのペテン師のセリフだか知らないけど』









パンを抱いて逃げる途中、すれ違う行列の中の

美しい少女に目を奪われ立ちつくす。





「・・・・・・・・・・・・・・・・」





一瞬だけ少女と目が合い、少年は顔を赤らめた。















遠い町から売られてきたのだろう。

うつむいているその瞳には涙が。

金持ちの家を見とどけたあと

叫びながら、ただ走る。












人は皆、穢れている。

お金のためなら何でも出来ると・・・・。


























清らかな、その身体に穢れた手が触れているのかと思うと我慢がならなかった少年。

少年に力はなく、少女には思想を与えられず。

『神様がいるとしたら、なぜ僕らだけを愛してくれないの?』


















神様の意地悪―   大嫌い―


















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「ほう・・・なかなか美しい。名は何と申す?」









「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・です・・・・・・・」








少女は、と一言だけ呟いた。








少女、の目には・・・希望も光も無い、奥底まで続く暗闇のようだった。








「・・・か・・・・。良い名だな」








「・・・・・・・・・・・・・・・ありがとうございます・・・」
















コノ人達ハ何ヲ考エテルノ?








「ではさっそく・・・・」








そう言い、の服に手をかける大名の人。
















ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ・・・








怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ・・・








少女の目からは一粒の透明な水が零れ落ちた。


















少年は夕暮れを待って剣を盗んだ。

重たい剣を引きずる姿は、

風と呼ぶには悲しすぎよう

カルマの坂を登る。





















危うく肌と肌が重なる直前


と大名が居た部屋に、ドアがバン!と開き、一人の男の人が入って来た。








「大名様っっ!大変ですっ!一人の子供が・・・・少年が剣を持って次々と城の者を殺しています!!!」







「何だと?!城の兵隊は何処だ?!あいつらは?!」








「それが・・・・・・・・皆全員・・・・あの少年に・・・」








そう言い終わったと同時に、ドアに居た男の人は血まみれになって倒れた。









ドアの向こうから、剣を持った少年が現れた。












怒りと憎しみの切っ先をはらい、

血で濡らし辿り着いた

全て返り血だろう。








少年は無表情のまま、少女の上に乗っていた大名を剣で突き刺した。








最初は少年が血まみれだったため、誰だか分からなかったけどよく見てみれば

あの時パンを抱いて此方を見ている少年ではないか。





















「貴方は・・・・・!」




「・・・・・・」




「やはり・・・・そうですか・・」




少女の頬には 新に“涙”と言う名の水が流れ落ちる













少女はもう、

こわされた魂で微笑んだ。


















―そして・・・・最後の一振りを少女に・・・。









名も知らぬ少女は、二度と目覚めぬ眠りに着いた。

その少女は安らかな顔をしていた。

・・・恐らく、自分も殺されると分かっていたのだろう。

















少女の手が目に入った。

手に何か握っている。

それを静かに少女の手から解放すると

そこにはペンダントが。

中を見ると、少女の写真と、“”と書かれた文字。








・・・この少女の名は・・と言うのか・・・。








・・・・・・・最後に少年は、静かに眠る少女の唇に接吻を。


















泣くことも忘れていた。空腹を思い出していた。

痛みなら少年はありのままを確かに感じている
















囚われた少女の心―

砕けた少年の心―















そんな二人は決して結ばれない―













それが二人の運命なのだから―・・・





















     ―お話は、ここで終わり。ある時代のある場所の物語―


















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ポルノグラフィティさんの『カルマの坂』と言う曲。
ちょぃダークに仕上げてみた。

結構前に書いた奴。ちょぃ修正しました。
なんか・・・最後の文、自分でも何が言いたいのか分からん・・・orz

風邪引きながらも頑張って修正した・・・orz【オイ



2006.3/4  修正