さよならは言わない
「我愛羅!」
「・・か・・・何だ、今日はデートの日では無いぞ」
「デートって・・・我愛羅から呼び出したんでしょうが」
「・・・・そういえばそうだったな・・・」
「あぁ〜!我愛羅ももう年かぁ〜」
さすがにこの言い方にカチンと来た我愛羅。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・帰る」
「・・・え?!ちょっ!ごめん!!謝るから〜〜」
「・・・・フッ・・・・・お前からキスしてくれたら許してやらんでも・・・・」
「え〜〜?!・・・しょうがないなぁ・・」
いつもの二人の日常。
こんな日常が壊れる日はすぐそこまで迫っていた。
「あ、そういえばさっきからも聞いてるんだけど用って何?」
「嗚呼、その事だが・・・・・・・・・・・・・」
急に悲しそうな顔になる我愛羅。
「え・・・・まさか・・・別れたいとか・・・?」
恐る恐る尋ねる。
「いや・・・違う」
「じゃあ・・・何?」
「任務の事だ」
「任・・・務?」
「嗚呼・・」
「あ〜そっか!我愛羅、風影様だからね!で、何の任務?」
「それが・・・本当はこんな任務出したく無かったのだが・・・」
「・・・??」
「今回の任務を決める時、オレの意見関係無しに他の奴等が決めてしまったのだ・・・」
「うん・・・」
「で・・・その決まった任務と言うのがな・・・・」
「うん・・・・・・・」
「Sランクの任務だ」
「・・・でもそれがどうかしたの?」
「も知ってるだろう・・・“暁”の事を・・・」
「うん・・・・」
「“暁”に居る“赤砂のサソリ”を始末しろとの事だ・・・」
「え・・・・・?」
「・・・・いくら里一の実力を持つも今回ばかりは無理だろう・・・だから・・・あいつらに言ったんだが・・・」
「我愛羅」
「・・・・・?」
「私・・・・その任務・・・・・・・・・・・・やるよ!」
「・・ど・・どれほど危険なのか分かってるのか?!」
「分かってるよ。でも、私しか居ないんでしょ?“赤砂のサソリ”を始末する人が・・・・」
「そうかもしれないが・・・!だがオレだって・・・!」
「駄目よ・・・我愛羅は風影様なのよ?里の人を守らなきゃ・・・!でしょ?」
「・・・・」
「大丈夫。ちゃんと戻って来るわ」
「オレは・・・お前・・が居ないと・・・」
「我愛羅・・・。本当に戻って来るから・・・。・・ね?」
「・・・・・」
「だから・・・“さよなら”は言わないよ・・・」
その時微笑んだはまるで手の届かない存在のように感じた。
が任務に行ってから一週間・・・。
が亡くなったと連絡が入った。
死体はまだ見つかっていない。
の血痕だけが見つかったそうだ。
恐らく・・・“赤砂のサソリ”に気に入られて傀儡にでもされているのだろう・・・そういう噂が流れた。
戻って来ると行ったのに・・・。
彼女は戻ってこなかった。
魂も、体も戻って来なかった・・・。
『“さよなら”は言わないよ・・・・』
嗚呼・・・オレだって“さよなら”は言わないさ。
いつかきっとまた何処かで必ず会える。
そう信じてるから・・・。
END.